2020年9月6日(黒の日)にスタートした伊勢丹の染め替えプロジェクト
「KUROZOME REWEAR KYOTO」。
汚れて着られなくなってしまった服、クローゼットの奥で眠っていた服を黒く染めることにより新しい服として再生し、もう一度着られるようにするプロジェクトで、伊勢丹と株式会社京都紋付がタッグを組んだSDGsの取り組み。
色味が今の気分じゃなくなりそでを通さなくなっていたテラコッタのコットンワンピース、
けれどもカタチは気に入っていたのでこのKUROZOME REWEAR KYOTOを利用して復活させてみようと思いました。
申し込みは6月23日、手元に戻ってきたのは9月1日。
約70日間の時を経て帰ってきたワンピースがこちら。
伊勢丹x京都紋付 【KUROZOME REWEAR KYOTO】とはどんなサービスか
京都紋付は大正4年から第一礼装の着物「黒紋付」だけを100年間染め続けてきたという伝統ある染屋さん。
黒紋付の黒さを追求していくうえで、一旦黒染め加工を施した後、再度黒染めし、天日干しで一点一点乾かすことによって黒をより深い黒に変化させ、真っ黒にするという「深黒(しんくろ」という技術を編み出したそうです。
この技術とSDGsへの取り組みを結びつけたのが伊勢丹のKUROZOME REWEAR KYOTOという
サービス。
伊勢丹が窓口となって、再生したい服を持つ人と京都紋付を結びつける役割を担い、衣類の再生を
通じて社会貢献していこうという取り組みです。
今回黒染めで再生したかったのは半袖マキシ丈のTシャツワンピ。
テラコッタの色が珍しくて買ってみたものの、今の気分とはちょっと違う。
だからこの1年クローゼットの奥に眠っていた1着でした。
ボリューム感のあるシルエットとオーガニックコットン100%という素材が気に入っていて、聞きかじりで知っていたKUROZOME REWEARサービスで服を再生するという取り組みに興味が湧き、利用してみることにしました
料金はワンピースの黒染め5,000円と往復の送料負担1,800円、プラス消費税で合計7,480円。
比較的安価なブランドならもう1着、ユニクロなら数着買えてしまうお値段です。
でも新しい服を買い足すのではなく、まだ着れるのに処分できない服を「再生」したい、という今の自分のマインドにぴったりだったので自分なりに納得できたお値段です。
KUROZOME REWEAR 仕上がりと注意する点
半袖のTシャツ素材のワンピースなのでこの夏に着ようと仕上がりを待ちに待っていました。
手元に戻ってきたのが約70日後。
時間がかかることはわかっていましたがやはりちょっと待ち遠しく感じました。
その仕上がりは?
大体のところ、イメージ通りの深い黒に染まっていました。
ところが縫製糸が元の色のまま残っていました。
染め替えの場合は縫製糸の組成まで確認する
なぜかというと黒染めは綿、麻、シルク、羊毛、レーヨン、キュプラなど天然繊維は染め替えが可能。でもポリエステル100%、アクリル100%、ナイロン、革、アセテート、トリアセテートなど、化学繊維と革は染め替えができないのです。
ワンピースの生地は綿100%だったけれど、縫製糸が化学繊維だった、ということなんです。
縫製糸が化繊の場合は元の色が残る、ということは申し込みサイトにも注意としてしっかり書かれています。それは承知の上で申し込みました。
問題はワンピースの混用率に糸の素材まで表示されていないこと。衣類をはじめとした繊維製品の品質表示を定める家庭用品品質表示法および繊維製品品質表示法によれば、重量による百分率で表示される素材の「混用率」は、全体の5%以下の場合、表示を省略してもよい、という特例があります。
衣類の縫製に使われた縫製糸は重量にすると微々たるため、金属糸など特殊な素材を使う場合以外は表示されることはあまりありません。
ということで、「オーガニックコットン100%」というワンピースが実は縫製糸に化繊を使っていた、ということが黒染めサービスを利用してはじめてわかったことでした。
表地が自然素材であっても、縫製糸はポリエステルを使用、というケースはよくあります。強度があり、濡れてもすぐ乾きやすい、縮みが少ないなどのメリットがあるからでしょう。
そうした元の色と黒染めの配色を新しい味として楽しむ、というのもいいでしょう。
もしKUROZOME REWEAR KYOTO、もしくは似たような染め替えサービスを利用する場合、仕上がりが気になる、というのであれば糸の組成まで確認したほうがいいでしょう。
品質表示に縫製糸の組成が書かれていない場合には、販売元に問い合わせるのが間違いない方法だと思います。
染め替えはオフシーズンに申し込んでおく
黒染めは染める、乾かすを繰り返すため仕上がりに時間を要します。
その服を着たいシーズンはいつかを考えて、オフシーズンもしくはシーズン後に申し込むのがポイントです。
今回は約70日間かかりましたが、染屋さんが混んでいる場合もあるので着るタイミングを考慮しておくことがマストです。
KUROZOME REWEAR 「再生」というコンセプトに共感できた
とかく大量生産・大量廃棄が問題視されがちなファッション業界に身を置きながら、自分の生業と今のマインドが乖離してもどかしい思いをしていました。
今回チャレンジしてみたワンピースの仕上がりにはオチがあったものの、好きなもの、思い入れがあるものならお金をかけても修理しながら使い続けたい、という思いがあり、こういった取り組みには大いに賛同しています。
機会があればまた利用してみたいと思っているし、服飾品に限らずこうした取り組みが広がっていくことを願っています。
クローゼットの肥やしになっている衣服の処分、場合によってはフリマアプリで安く叩き売るより幸福度が高いかもしれませんね。
このワンピースは染まらなかった部分を黒糸で縫い直して最終仕上げするつもりです。
ちなみに先述した天然素材100%のほか、天然素材が50%以上含まれていれば染め替えを受け付けてもらるそうです。ただ、アセテート、トリアセテートは少しでも組成に含まれていると染色できないそうなのでご注意を。
洗濯表示にドライマークがあるものは縮む恐れがあるのでこちらも要注意。
さらにブランドのネームなども染まってしまうので、活かしたい場合はあらかじめ取り外しておくことをおすすめします。
その他詳しくは伊勢丹の公式サイトをご覧ください。
MITSUKOSHI ISETAN 公式サイト
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