自由が丘のおすすめ散歩ルート ~ 九品仏浄真寺

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自由が丘のひとつお隣、大井町線の九品仏駅近くにある浄土宗のお寺、九品仏浄真寺。
都心でこれだけの敷地面積がある寺社はめずらしい。

敷地面積が広い=緑が多い、ということで、okamiの定番散歩コースになっています。
春は桜、秋は紅葉が素敵、近頃は6月~7月ごろには蓮の花が見られるようになりました。

こちらの記事では九品仏浄真寺のアクセス、見どころ、奇祭と呼ばれる「お面かぶり」、どんな御朱印がいただけるか、などなどをご紹介しています。

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九品仏浄真寺 アクセス

出典:公式サイト

東京都世田谷区奥沢7丁目に所在する『九品仏浄真寺』は、東急大井町線・九品仏駅から歩いて約1分、東急東横線・自由が丘駅から歩いて約10分のところにあります。

バスの場合は八中前商店街下車で徒歩4分、九品仏駅前で下車して徒歩3分です。

駐車場はありますが、檀家さん向けのごくわずかです。周辺にコインパーキングが点在しているのでそちらを利用するのがいいでしょう。

かつて世田谷は吉良家の領地で、この奥沢にも城がありましたが、豊臣秀吉の小田原城攻めの際に吉良家は逃亡、奥沢城も廃城となりました。

九品仏浄真寺は延宝6年(1678年)、徳川幕府から奥沢城跡地を譲り受け、創建されました。

開山したのは珂碩上人(かせきしょうにん)。元和四年、江戸に生まれた珂碩上人は大厳寺(千葉市)の珂山上人に師事し、弟子になりました。

そこで梵網経(ぼんもうきょう)の一説を読み、衆生救済を説いて九品阿弥陀佛像の造立を願い出、1日に3文ずつ蓄えて準備をし、寛文四年、仏像1体を造立したのを始めとして、その後は弟子の協力を得て、9体の阿弥陀佛像と、1体の釈迦牟尼佛像を造立、九品仏浄真寺の創建に至りました。

「九品仏」の名前の由来はその9体の仏像からきています。

”野をも過ぎ 山路を超えて奥沢の 九品浄土へ 詣る喜しさ”
とは、珂碩上人が読んだ和歌、奥沢の地に極楽浄土を再現し、衆生の極楽往生を願ったのではないかと偲ばれます。

宗派は浄土宗、山号は九品仏、院号は唯在念佛院、です。
「九品仏浄真寺」は通称であり、正式名称は『九品山唯在念佛院浄真寺』となります。

九品仏浄真寺 入口

九品仏浄真寺の最寄りは東急大井町線、九品仏駅。
改札を出て左手に曲がり、通りを渡ると立派な参道とその先に九品仏浄真寺の総門が現れる。

この総門の屋根、現在は銅板葺きですが、昭和40年代以前は茅葺だったそうです。

総門をくぐる…

広くて美しい境内。とにかく圧倒的なグリーンのパワー。新緑が美しい季節はもちろん、12月初旬ごろから色づく紅葉も見もの。

大きな山門(仁王門)、別名「紫雲楼」は重厚な造り。

この楼上に、阿弥陀如来と二十五菩薩が安置されていると言われ、ここより先は彼岸(浄土)の世界を現わしています。

阿形像(あぎょうぞう)。

吽形像(うんぎょうぞう)。

いかめしい形相で迎えてくださる仁王様、ここ、見どころです。

仁王様(金剛力士像)は、仏教における守り神とされ、阿形像と吽形像が金剛杵と呼ばれる武器を持って敵から寺を守っている、とされています。

そのために、にらみつけるような厳しいお顔をされているのです。

九品仏浄真寺 九躯の阿弥陀如来像

龍護殿・釈迦牟尼仏

山門をくぐってしばらく真っすぐ境内を進み、右手に曲がると龍護殿。
「龍」とつく御本殿のいわれは、珂碩上人と龍の伝説に由来しているといわれます。

伝記によれば、寛文二年(1662年)、伊豆下田で奇妙な魚がかかり、村人がその魚を食べると奇病にかかってしまった。調べると、その魚は伊豆下田に住む龍女だった。

困った村人が珂碩上人をたずね、救いを求めると、珂碩上人は龍女を供養した。すると奇病は治まり、龍女も龍神となり、浄真寺の守り神となったそうです。

この龍護殿の中で、御朱印を授かることができます。

上品堂

その龍護殿のちょうど反対側にあるのが「上品堂」。

青瑠璃色の螺髪も目に鮮やかな阿弥陀如来坐像が3体並んでいます。
定印は「弥陀定印」、定印とは、心静かに精神を集中していることを象徴する印契で、仏様のハンドサインのようなものです。

中品堂

こちらは中品堂。

中品堂は、上品堂に向かって右側に位置しています。
定印は「説法印」、両手を胸の高さにまで上げ、親指と他の指の先を合わせて輪をつくる。

まるで手振りで衆生に真理を説いているようなお姿です。

下品堂

こちらは下品堂。上品堂に向かって左側に位置しています。

定印は「来迎印」、信者の臨終に際して、阿弥陀如来が西方極楽浄土からお迎えに来るときの印相です。浄土宗・浄土真宗の本尊像は、基本的にこの定印であることが多いそうです。
この日は、真ん中の阿弥陀如来さまが修復のため、京都へ出張されていました。

本堂の西側にあたるこの位置は、西方にあるとされる「西方浄土」の姿を現している、といわれています。

さきに少し触れましたが、仏様をよ~く見ると、螺髪が青いことがわかるでしょうか??

青い螺髪の仏像は珍しいのではないかと思いますが、青瑠璃色に染まった螺髪は仏の象徴とされ、それを再現したものなのだそうです。


平安時代後期、末法思想の浸透に伴い、俗世を避けて極楽浄土に往生したい、という阿弥陀信仰がブームとなりました。

さらに、信仰の深い・浅いによって、往生の仕方に9種の等級、上品に上生・中生・下生の3種、中品・下品にもそれぞれ3種、あわせて9つの等級があるとされることから、9体の阿弥陀仏像の造立が行われました。

造立された仏像は、いずれも像高2メートル80センチ前後で、形成は平安時代や鎌倉時代の伝統を受け継いでいる、といわれています。

特徴としては全ての仏像が全て印相を変え、上品仏は「弥陀定印」、中品仏は「説法印」、下品仏は「来迎印」とわけられ、さらに上生・中生・下生で指の印相が変えられているそうです。

作は江戸時代のものですが、9体の仏像が完備されるのはこの九品仏浄真寺と、京都の浄瑠璃寺のみとされ、9体とも東京都の文化財に指定されている、ということです。

現在、平成二十六年(2014年)から約20年の歳月をかけて大修繕(大勧進)が勧められており、仏像は京都「美術院」の国宝修理所にて修復が行われ、全ての修理・修繕が完了したのちには、更なる文化財指定を受ける、ともいわれています。

九品仏浄真寺 関東では珍しいお面かぶり

東京都の無形民俗文化遺産、二十五菩薩來迎会、「お面かぶり」の様子。3年ごと、5月5日に開催される。関東地方では珍しい行事。正式名称は「二十五菩薩来迎会」。

なんともユーモラスな風景。

二十五菩薩「行者」とお稚児さん「天童」を募集中。
ただ新型コロナ感染拡大防止策中は延期され続けています。

九品仏浄真寺 季節の移ろいが鮮やかに楽しめる境内

春は桜。

初夏には蓮の花。

秋は紅葉が美しい。

紅葉の時期に訪れた、九品仏浄真寺の撮影スポットをまとめた記事も、参考までにご覧ください。

九品仏浄真寺 閻魔堂

近年、閻魔堂が増設されました。お賽銭を入れると閻魔様から説諭がいただけます。

閻魔堂の手前には三途の川。九品仏浄真寺では、極楽浄土と冥界の世界を味わえます。

ちなみに閻魔様は、仏教・ヒンドゥー教では地獄、冥界の主とされ、冥界の王として死者の生前の罪を裁く神とされていますが、日本の仏教においては地蔵菩薩の化身とみなされ、同一視されています。

九品仏浄真寺 御朱印

九品仏浄真寺の御朱印は4種。

こちらは九品仏の由来である9躯の阿弥陀仏の御朱印。

こちらは阿弥陀如来の前身である宝蔵菩薩の御朱印。五劫の間、衆生救済のため思い悩まれ螺髪(らほつ)が伸びてしまった姿が全国的にも珍しい図柄。

この他、九品仏浄真寺の仏像修繕のための勧進(寄付)をすると金紙に梵字入りの勧進朱印がいただける。(一口千円)

九品仏浄真寺 ご利益

九品仏浄真寺のご利益は、開山した珂碩上人の御祈願をはじめ、各種御祈願をお願いすることができます。

安産、厄除け、開運、家内安全、病気平癒、商売繁盛など。

また初参りや七五三の御祈願も受け付けています。

祈願料は一般5,000円、団体会社10,000円以上、初参り・七五三は10,000円以上。
事前に浄真寺・法要課にて申し込みが必要です。(電話予約)

九品仏浄真寺 さぎ草物語

龍護殿前の白鷺像 出典:公式サイト

九品仏浄真寺には、悲恋の物語が言い伝えられています。

前身の奥沢城には常盤姫という美しい姫がいましたが、主君、世田谷城主・吉良頼康の側室となると、一身に頼康の寵愛を受け、それ故に他の側室たちから妬まれ、不義の噂を流されてしまいます。

その噂を信じた頼康は、徐々に常盤姫を遠ざけるようになっていきました。

悲しんだ常盤姫は、幼いころから可愛がっていた白鷺の足に自らの潔白を記した遺書を結び付け、父母のいる奥沢城に向けて放ちます。

何も知らず、付近で狩りを楽しんでいた頼康はその白鷺を打ち落としてしまいます。

白鷺の足に結ばれていた文に気づいた頼康は、常盤姫の潔白を悟り、急いで常盤姫の元に駆け付けますが、常盤姫はすでに自害していました。

出典:公式サイト

その後、白鷺を奥沢城近くに埋葬し、するとそこから白鷺に似た植物が花を咲かせるようになります。
それが「さぎ草」です。

現在さぎ草は、世田谷区の花とされ、九品仏浄真寺の境内内「さぎ草園」では、毎年8月の上旬ごろ、可憐な白い花を咲きほこらせています。

2022年7月の下旬のある暑い日、さぎ草園を訪れると、美しいさぎ草が、すでに花開いていました。

2022年7月24日撮影

九品仏浄真寺のアイドルねこ

君の名は…??

この猫さまは、九品仏浄真寺の境内に住み着いているねこ様。

自由気ままな振る舞いに、いつもほっこりとさせらる、参拝者のアイドル的な存在です。
このねこ様のほかにも野良と見られる猫が多く住み着いている九品仏浄真寺。

濃い緑の広々とした境内で、猫生を謳歌しているようで、訪れるたびに羨ましくなってしまうのでした。

九品仏浄真寺
〒東京都世田谷区奥沢7-41-3
TEL:03-3701-2029
*拝観料無料

開門時間:6:00~16:30

御朱印拝受場所:龍護殿

【お面かぶり】
*現在中止

*行者・天童 応募先
九品仏浄真寺 寺務所:03-3701-2029