ベーシックなデザインで、なおかつ品質に定評のあるニットブランド「スローン」。
ローゲージ、ウール100%、少しオーバーサイズで、メンズっぽく着ることができて、時を経てもずっと着続けられそうなシンプルなニットを購入しました。
私の大好きな色「ホワイト」で。
ワンシーズン、とってもユーズフルに着まわし、自宅で洗濯して引き出しに保管。
半年後、ニットのシーズン到来!引き出しから引っ張り出してみると…黄ばみが・・・!
黄色いマーブル模様のような濃い黄ばみが、まるでブチ模様の子犬のように、ところどころに広がっていました。
また、「KUROZOME REWEAR」で再生してみるかぁ…。
ところが?!
日本は高温多湿 黄ばみを引き起こす湿気からは逃れない⁈
…アニマル柄みたい・・・!
どうせならヒョウ柄みたいに、均一に黄ばみが出てくれたら、「柄物」みたいな顔をして着て歩くことができたかも??
えり元や身頃に、縦横無尽に広がったその黄ばみは、洗濯機で洗っても、酸素系漂白剤で手洗いしなおしてみても、落ちませんでした。
数年前から獣毛は、中国において莫大に需要が増え、価格が高騰。そのせいでニットの製品価格もぐんぐん値上がりしていて、高品質な素材を使ったニットはもはや高級品・・・!
「一生モノ」のつもりでそれなりの金額を支払って買った、お気に入りの一枚。
どうしよう…。
そこで思いついたのが、以前、気分じゃなくなったブリック・カラーのワンピースを黒く染め直してもらった、京都紋付の「黒染め」。
実は、この時、生地はきれいな黒に染まったものの、縫製糸がポリエステル製だったため、糸だけ染め残り、母親に黒い糸で縫製し直してもらった、というオチがついた方法。
黒染めに2カ月近くの時間とそれなりの料金がかかり、さらに老眼で目の悪くなった母の手をわずらわせ、結局、外に着て歩けるようになるまで膨大な時間とそれなりのお金がかかったワンピース。
ものを大事にすることが、サステナブルの第一歩。
と思ってたけど、便利で早い!な生活に慣れ過ぎて、まどろっこしい、と感じてしまって、もう少し、リメイク・リサイクルの環境が整わないと、そういうサービスも使いずらいなぁ。
そんな利用後の感想を抱いていた黒染めですが、いたし方なく、いえ、お気に入りの一着を復活させるべく、再度、利用してみることにしました。
高額商品だからと言って侮れないニットの成り立ち
申込から2カ月弱、やっと手元に戻ってきたニット、恐るべしポリエステル糸、またきれいに白い糸が残ってる…!
スローンほどのブランドニットなら、そこそこのお代金をお支払いした高級ニットなら、きっと糸も本体と同じ素材のものを使っている、なんて甘い考えでした…。
やっぱりポリエステル糸を使ってるんだ…。
ニットは首、身頃、そで、と各パーツを「リンキング」して縫製するんだけど、首のリブの部分と身頃、そでと身頃をつなぎ合わせる糸が、これまたポリエステル糸で、きれいに染め残されていた・・・!
しかも、縫製がきれいなら、黒と白の配色感も「デザイン見え」する、かもしれないものの、そのステッチは、意外にもガタガタ。
ハイクオリティでおしゃれニットの代表格だと思っていた「SLOANE」が、まさかのこんなに縫製が荒々しいとは…夢にも思わなかった。
でも、復活までもう一息。ここまでお金と時間をかけたら、なんとかしなきゃ。
そこで、思いついたのが、多少の金額は支払ってもいいから、販売元のスローンで、リンキングをし直してもらう、という方法。
その手があったよ!
販売元は、自社が扱った商品をお直しする技術やネットワークをおおよそ持っているもので、逆にそれができないというお店とはあまりおつきあいしない方がいい。
早速、スローンに電話をかけると、「一度解体して同色の糸で再度リンキングするなり、白く色残りしている糸の部分を染色するなり、そういった対応は可能です」とのこと。
やった!今度こそ、ダメになった白い服の再生、成功だ!!
そう確信してました。
ところが、ニットを購入した店舗に持ち込みして数日後、電話が。
「お客様が持ち込まれたニットは、お直しの対応ができない」
え?
電話で問い合わせた時にはできそうな雰囲気、醸し出されていたけど、なんで?
耳を疑って、何度も聞き返しちゃいました。
話をよくよく聞くと、ニットのリンキングをほどいて、再度縫製し直すことができる場合もあるが、このタイプはできない、と。
いや、できないワケではなく、やるとしたら数万円かかりますよ、と。
ある程度の金額は覚悟していたけど…?
そしてその「数万円」とは、1万円程度の金額ではないな、とやっと悟った私は、「…仕方がないですね、あきらめます」と電話を切りました。
もちろん人の手が介在することだから、代金はかかって当たり前だと思うけど、数万円もかかるもの?
編み物しないので、それがどれだけの労力を要するものなのかわからないけど、ちょっと違和感の残る体験でした。
これは私の憶測ですけど…修理対応することを遠回しに拒否してる…?
困ったときの頼みの綱「おしゃれ工房」で相談
すでに、黒染め、販売元・スローンへの問い合わせ、を経て引くに引けない心境。
ここまでお金をかけたんだから、なんとかしたい。
ちなみにこういう心理状態を「コンコルド効果」といいます。
膨大なコストを消費した挙句、赤字垂れ流しだったコンコルド事業になぞらえているそうです。
余談でした。
そうだ、フレルウィズ自由が丘の中に、お修理屋さんがあった。
靴のメンテナンスやホネの壊れた日傘の修理、何かにつけ頼りになるお修理屋さんがあった!
こちらのお店では、過去、サイズの合わなくなった服のお直し、パンツの丈詰めもお世話になっている。
確かニットのお直しもやっていたぞ・・・!
1階の東急ストアで買い物を終えて、勇んで2階の「おしゃれ工房」へ!
ニットのお直し・・・やってる!
リンキング・・・対応してる!
さて、お値段は??
「10㎝で7,000円です」
・・・えーーーっ?!高い!
「正確な料金はわからないけど、とにかく一度お持ちいただければ見積りはできますよ」。
うんうん、ぜひ今度持ってきます、と返答したものの、ざっと自分の頭で概算すると、4万円は下らないかも・・・。
ニットのリンキングって高額なものなんですね。
スローンを疑ってかかってしまったけど、あながち嘘ではないみたい。
最後の砦、「おしゃれ工房」にも見放された気分になって、トボトボと家路を戻る。
あ、でもおしゃれ工房さんはあらゆるものがお修理対応になっていて、知っているととっても便利なお店。おすすめです。
お気に入りを大事に着続けられる それが服飾業界が取り組まねばならないの最大のサステナブル…と思いませんか?
今、自分が関わっている職場でも、「サステナブル」を求められて久しいけど、実践していくとなると、現実にかかるコスト、二次的、三次的サービスの部分がまだまだ追いついてなくて、何が本当に「持続可能」なのか、考えさせられることが多々あります。
ちなみにこのスローンのニット、どうしても捨てる気にはなれず、私のフトコロにもサステナブルなお値段で、直すことができないかなぁ…
と、いまだ手放さなずにいるわけです。
そして今日も検索三昧。
足立区にニットのお直しをやっているところがある…。
これから問い合わせてみようと思います。
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