しゅわっとする飲み口とメロンのような香りのお酒、七田(しちだ) おりがらみ 無濾過生酒 について書いています。
七田の産地・酒造
七田は佐賀県小城市(おぎし)のお酒、酒造元は「天山酒造」です。
1875年、もともと製粉・製麺業を営んでいた七田夫妻が近隣の酒造業を継承したことがはじまりだそう。
小城市は北に天山山系がそびえ、南は有明海に面している。
天山から流れ出る河川が有明海に流れ込み、豊かな生態系を持つ。
小城市内の蘆刈海岸には、ムツゴロウが生息しているんだそうです。
特産品は胡蝶蘭、みかん、いちご、レンコンなどなど。
その中には「江里山棚田米」というお米もあるそうです。
この風光明媚な棚田のお米を使っているワケではないようですが、なんとなく、お酒を造るうえでも大切なお水も、美味しそうな雰囲気の天山酒造の地元の風景です。
おりがらみとは
日本酒の種類で目にすることがある「おりがらみ」。
もろみを絞った後のお米や酵母などの固形物「おり」が混ざったもののこと、をいいます。
お酒はもろみをしぼったあと、このおりを沈殿させ、上の澄んだ部分をすくいあげ、清酒をつくっていますが、このおりを混ぜたお酒を「おりがらみ」と呼ぶんだそうです。
味の特徴としては、澄んだお酒よりもお米の風味を感じられる、ということと、かすかな発泡性も持つこと。
また、おりがらみでも、火入れと生では味わいが変わるそうです。
おりが混ざっているので、七田 おりがらみは「無濾過」ということになります。
そして、火入れをしていないので、「生酒」です。
生酒の場合、冷蔵しないと酵母が活動を続けるので、味わいがどんどん変わっていってしまいます。
なので、七田 おりがらみの保存方法は「要冷蔵」になります。
おりがらみのことを、お酒が濁った様子がかすみのように見えることから、「かすみ酒」ともいうそう。
にごり酒との違い
わたしが日常、好んでよく飲んでいるものに「白川郷 にごり酒」があるんですが、このにごり酒とおりがらみの明確な定義の違いはあるのか?
あるみたいです。
おりがらみは目の細かい布でしぼるのに対して、にごり酒は目の粗い布やざるでしぼるんだそうです。
そして、まったくしぼらないものが「どぶろく」。
お米のうまみ・甘みがいちばん濃厚に味わえるタイプです。
余談ですが、白川郷 にごり酒(岐阜県大垣市・三輪酒造)も、お米の優しい風味が味わえてお手ごろ価格でおすすめ!
毎日飲める、親近感のわくお酒です。
甘くない甘酒のようで、ついつい、ごくごく飲んでしまいますが、意外にアルコール度数は14.5度あるので気をつけましょう。
七田 おりがらみの味わいと合う料理
ひと口のんで、「メロンだな」と。
瓜のような青っぽい風味と、舌先に感じるしゅわしゅわという感覚、メロンを食べたときのあの感じ!と思いました。
そんなフルーティーさがありながら、甘すぎず、さっぱりとした味わい。
そして微発泡。
美味しい。
造り手の天山さんは、どう評しているのか??
と公式サイトを見ると、「大人のクリーミーソーダ」とありました。
なるほどお上手な言いまわし♪
ならばわたしは「大人のメロンソーダ」と呼びたい。
お米は山田錦とレイホウ。
「レイホウ」。聞いたことのないお米。
レイホウは、1969年に九州農業試験場で、「ホウヨク」と「綾錦」を交配してつくられた品種だそうです。
ワケあって、作付面積は少ないそうですが、今でも日本酒の掛け米として佐賀・福岡・長崎で栽培されているそうです。
七田のおりがらみ、発泡度合いは「微」なんですけど、やっぱり泡を感じるお酒って華やかでいいです。
最近ハマっているホタテのカルパッチョににんじんのドレッシングをかけたアテでいただきました。
海鮮がすすむ♪
和食の席のお祝い酒にいい感じです。
甘いものにも合う
ごく、たまたま、同じ佐賀県小城市のお菓子「ナッツ羊羹」がありました。
新宿高島屋の各地の銘菓を集積した売場で見つけて買っておいたもの。
お酒x甘いもの、の禁断の組み合わせも試してみました。
同じ産地だから、というわけではないでしょうが、マッチしているように感じる~。
そして天山酒造の公式さんも、合う料理に「イチゴのタルト」としています。
なんか、わかる気がします。
おりがらみが出荷される時期は春先なので、ちょうどいちごの旬ですね。
七田おりがらみの青っぽいフルーツ感と、旬のフルーツのタルト、いい組み合わせだと思います。
公式さんは合う料理に「クリームチーズ」も挙げています。
そこで春の食材とクリームチーズでいくつかレシピを考えてみました。
菜の花とツナのクリームチーズあえ
菜の花を軽くゆで食べやすい大きさに切ったら、ツナ缶とクリームチーズ、アクセントに粒マスタードとお醬油を少し加えて混ぜます。
菜の花の苦みとクリームチーズのまろやかさ、お醤油の風味が一体となって、結構いいお酒のつまみになります。
そら豆のクリームチーズクラッカー
好きなクラッカーにクリームチーズをぬり、ゆでたそら豆をのせます。
かつお節をちらし、お醤油をひとたらし。
アボカド クリームチーズ
これはいちばんかんたん。
アボカドを半分に切って、種をとったくぼみの部分にクリームチーズ、かつお節をかけてお醬油をひとさし。
あ!結局全部、お醤油味になっちゃいました。
ところで、七田 おりがらみは発泡性があるので、たま~に開栓するときに噴き出すことがあるようです。
ご注意ください。
七田のおりがらみは2月から順次出荷される期間限定のお酒です。
七田 注目のお酒
七田おりがらみのほか、注目すべき銘柄は?
七田 純米大吟醸
やっぱり七田の純米大吟醸、のんでみたいですね。
これは大切な方への贈り物としてプレゼントに選びました。
理由は2022年3月~5月、ANA国際線のビジネスクラスで機内酒として選定されていた経緯があり、美味しさが担保されている、と思ったからです。
2018年には全米日本酒歓評会の準グランプリにも輝いています。
天山酒造いわく、スミレの花のような美しい香りと濃厚な味わいが特徴。
七田 純米大吟醸 parfait
七田は純米大吟醸が最高峰化と思いきや、さらにその先をいくお酒がありました。
兵庫県特A地区の最高級品の山田錦を使い、丁寧に醸しあげたという七田 純米大吟醸 parfait(パルフェ)。
なんと磨きは二割五分です。
専用化粧箱に入ります。
七田 純米吟醸 愛山50
こちらも注目!
2021年、フランスのワインコンクール「世界フェミナリーズワインコンクール」の日本酒部門で金賞を受賞した七田 純米吟醸 愛山50。
愛山とは、お米の品種です。
りんごのような果実の香りと酒米のダイヤモンドと呼ばれる愛山の優しく上品な甘みが特徴。
七田では10月ごろからひやおろしも出荷されるので、ぜひ楽しんでみたいものです。
七田のお酒のデータは、天山酒造さんの公式サイトを参考にいたしました。
七田おりがらみと出会った九品仏・旭屋酒店
ここからは蛇足になるかもしれません。
ご近所のかただけちょっとおつきあいください…。
よく散歩に出かける九品仏浄真寺からのびる商店街に「旭屋酒店」はあります。
この付近に引っ越してきたのは8年前くらい??
そしてその存在を認識したのはかなり前。入ってみたい。
でも一見には塩対応なんじゃないか…。
自分でもかなりの人見知りであることは認識してますが、こういう個人商店て、入りにくいですよね??
でもある時、なんとなく勢いで入ってしまったんですよ。
知人への贈り物を探していて、何かいいお酒ないかな??と。
そこで出会ったのが七田のおりがらみでした。
この旭屋酒店は、「鶴齢」と「七田」を2大推し酒としていて、結局知人への贈り物には鶴齢の純米大吟醸、七田の純米大吟醸、七田のおりがらみを3本、配送していただきました。
鶴齢は、新潟県魚沼市の青木酒造が作っているお酒。
魚沼といえば、米どころですよね~。
1717年の創業で、「淡麗旨口」なお酒を目指して製造しているそうです。
汗をかいて熱心に仕事をする魚沼の地の人々が食す「魚沼料理」は塩と醤油の味付けが主体で、これらの料理に合うお酒が鶴齢、ということです。
そして、旭屋酒店、全然、フレンドリーなお店でした!
いままで入店しなかったのが、もったいなかったな~。