女性の強い味方、エクオール。
エクオールは大豆イソフラボンが体内で代謝され、つくり出される成分です。
そのエクオールの元となるイソフラボンを過剰摂取すると体に悪影響はあるのでしょうか?
過去、大豆イソフラボンが健康にいいと注目され、イソフラボンを添加した味噌が特定保健用食品・トクホとして申請されるなど、その有用性がブームになりました。
かと思うと、その後イソフラボンの過剰摂取はかえって危険であるとされ、イソフラボン添加味噌もトクホ許可が見送られた、という「イソフラボン騒動」が起こりました。
イソフラボンの過剰摂取は本当に危険なんでしょうか?その真相は?
結論からいえば、どんな成分も過剰に摂取すると悪影響がでるもので、イソフラボンも同様で、あまり多量に女性ホルモン作用がある食品を摂ると、ホルモンバランスを崩してしまったり、副作用が出てしまう可能性がある、ということです。
イソフラボン騒動の後、厚生労働省が管轄する食品安全委員会が定めた大豆イソフラボンの1日当たりの摂取目安は、サプリメントなどから得るイソフラボンを30㎎までとし、大豆食品と合わせて70~75㎎までと定めました。
これはイタリアの臨床試験でこの倍量にあたる150㎎を摂り続けた結果、健康被害が発現するリスクが生じたからといわれ、ではその半量にとどめようといった根拠があったからのようです。
ここでは過去のイソフラボン騒動の経緯と、イソフラボンを過剰摂取すると体にどういった影響があるのか、など調べた内容をご紹介しています。
イソフラボンが危険視されたきっかけになったのはある食品企業のトクホ申請
健康に良い、ということで2000年代の初期に一躍大豆イソフラボンブームが巻き起こり、豆腐や納豆、大豆の水煮や豆乳など大豆食品が注目を集めた時期がありました。
そのブームに乗じて、2004年ある企業(ここでは名前をふせます)が大豆イソフラボンを添加した味噌を特定保健用食品、いわゆるトクホ申請をしました。
その2年後、審査を行った新開発食品専門調査会は、日常の食事と別に摂取するイソフラボンの上限を30mgとし、「イソフラボン添加味噌」についてはイソフラボンの過剰摂取になる危険性があり、「十分な安全性が確保されるとはいいがたい」という理由でトクホ申請を認めませんでした。
この出来事がきっかけとなり、イソフラボンの過剰摂取に注目が集まるようになったようです。
このイソフラボン添加味噌が却下された理由は、この味噌を使った味噌汁を1日に2杯飲むと、通常の食事よりイソフラボンを42㎎多く摂ることになり、日常の食事と別に摂取するイソフラボンの量が30㎎を超えてしまうから、だったそうです。
イソフラボンの過剰摂取で起こる副作用
では、イソフラボンを過剰摂取すると、体にどんな副作用があるのでしょう?
ホルモンバランスの乱れ
イソフラボンの主成分は、ダイゼイン、ゲニステインなどの植物性の女性ホルモンです。これらの成分を大量摂取すると、ホルモンのバランスを崩してしまう可能性があります。
女性なら生理周期が乱れたり、男性ならば脂肪を帯びて、体が丸みを帯びてくることも考えられます。
整腸作用の乱れ
大豆イソフラボンの過剰摂取の副作用としては下痢をしたり、反対に便秘を起こすこともあります。
大豆には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は少量なら腸の働きを活発にしてくれ、お通じをよくする働きをしてくれますが、大量に大豆を食べたりすると便の排出がスムーズにいかなくなることがあります。
大豆アレルギー
大豆アレルギーの症状として、腹痛や吐き気、蕁麻疹などが起こります。
大豆を食べてこういった症状が出るようであれば、大豆アレルギーの可能性があります。
中には大豆食品すべてに反応するというわけではなく、豆腐は大丈夫だけれども納豆には反応してしまう、という人もいるようです。気づきにくいため注意が必要です。
太る
大豆を食べ過ぎると太ります。
実は私自身、数年前に体に良いと思い込み、豆乳を1日1ℓ飲んでいた時期があり、その時はだいぶ体が丸くなりました…。
まぁ、太る程度ならかわいいものですが、ホルモンバランスを崩したり、お腹の調子が悪くなったりすれば体によかれと摂取していた大豆食品の意味を失い、実に本末転倒な結果になってしまいます。
どんな栄養成分も、過ぎたるは猶及ばざるが如し。一つの栄養素にかたよって大量に摂取することは、いますぐやめましょう。
イソフラボンの過剰摂取っていったいどのくらい?
ではいったい、1日にどれくらいのイソフラボンを摂取すると「過剰摂取」になるのでしょうか?
実は食品安全委員会が、1日のイソフラボン摂取量を70~75㎎と定めた背景には、冒頭でも触れたイタリアでの臨床試験に基づいた数値があり、その数値の半量にとどめよう、という医学的根拠があったようです。
かつてイタリアで、閉経後の女性を対象に大豆イソフラボン錠剤を1日150㎎、5年間に渡って摂取し続けた臨床試験が行われました。
その結果、子宮内膜増殖症の発症率が高かったそうです。
そのため、1日150㎎のイソフラボンは健康被害が発現する影響量であると考えられ、安全を考慮して大幅に摂取量をカットした75㎎と定められたそうです。
また食品安全委員会は、伝統的に日本人が摂取してきた大豆食品からの大豆イソフラボン摂取量によって、明らかな健康被害が出ていないため、その量がおおむね安全であるとし、数値設定の参考にした、ともしています。
下記に食品安全委員会事務局が平成18年(2006年)5月にまとめた「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」の内容を引用しておきます。
問19:大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70〜75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。
以下の2つの観点から設定しております。
[1] 食経験に基づく設定
日本人が長年にわたり摂取している大豆食品からの大豆イソフラボンの摂取量により、明らかな健康被害は報告されていないことから、その量は概ね安全であると考えました。そこで、平成14年国民栄養調査から試算した、大豆食品からの大豆イソフラボン摂取量の95パーセンタイル値70mg/日(64〜76mg/日:大豆イソフラボンアグリコン換算値)を食経験に基づく、現時点におけるヒトの安全な摂取目安量の上限値としました。
[2] ヒト臨床研究に基づく設定
海外(イタリア)において、閉経後女性を対象に大豆イソフラボン錠剤を150mg/日、5年間、摂取し続けた試験において、子宮内膜増殖症の発症が摂取群で有意に高かったことから、大豆イソフラボン150mg/日はヒトにおける健康被害の発現が懸念される「影響量」と考えました。摂取対象者が閉経後女性のみであることや個人差等を考慮し、150mg/日の2分の1、75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)をヒト臨床試験に基づく、現時点におけるヒトの安全な摂取目安量の上限値としました。
上記[1]及び[2]から、現時点における大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値は、大豆イソフラボンアグリコンとして70〜75mg/日と設定しました。
詳細は、
「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」[PDF]
をご覧ください。
引用元リンク:「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
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実は意外に摂れていないイソフラボン
ここまでは大豆イソフラボンの過剰摂取について触れてきましたが、食生活の西洋化によって実は意外にイソフラボンを摂れていない、といわれています。
かつて日本人の食生活は、3食味噌汁を飲み、豆腐や納豆、煮豆といった大豆食品をよく食べていたため、同じく大豆を食べる習慣を持つ中国・アジア地域と並んで、欧米と比較してがんの罹患率が低いといわれていました。
ですが国民栄養調査によれば、イソフラボンの摂取量は半数近くの人が平均して1日18㎎程度しか摂れていないという調査結果が出、食品安全委員会が設けた1日当たり70~75㎎の摂取量に大きく水をあけているのが現状です。
女性だけでなく男性にも嬉しい作用があるイソフラボン
植物性エストロゲンといわれる大豆イソフラボンですから、女性の更年期症状をやわらげたり、肌や髪のハリとうるおいを保ったりと女性に嬉しい効果がたくさんありますが、実は男性にも良い効果があるとされています。
大豆イソフラボンは男性ホルモン・テストステロンが5aリダクターゼと結合し、「薄毛ホルモン」と呼ばれるジヒドロテストステロン・DHTに変換されるのを阻害します。
ですから男性の薄毛を予防したり、やはりDHTによって引き起こされる前立腺肥大症や前立腺がんにも有用であると言われています。
実はイソフラボンの過剰摂取を心配するよりも、イソフラボンが不足していることの方が問題かもしれません。
【エクオール】イソフラボン過剰摂取はキケン?大豆食品食べ過ぎはいますぐやめて!目安は1日75㎎・まとめ
栄養素はバランスが大切です。
イソフラボンは必須栄養素と定められているわけでもなく、過剰摂取はやはり避けたいですが、不足していてはその恩恵にもあずかれません。
大豆食品プラス、サプリメントなどの栄養補助食品で適切な量を補って、イソフラボン=エクオールのメリットを存分に享受したいですね。
【エクオール】イソフラボン過剰摂取はキケン?大豆食品食べ過ぎはいますぐやめて!目安は1日75㎎をまとめると、
✓体に良いとされる大豆イソフラボンも摂り過ぎては悪影響が出る
✓実は十分に大豆イソフラボンを摂取している人は少なく、半数程度の人は1日18㎎程度しか摂れていない
✓大豆イソフラボンはサプリメントで30㎎、大豆食品と合わせて1日70~75㎎が適量とされている
大豆イソフラボンを是非、あなたの健康の良いパートナーにしてくださいね。
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